「3段階のアウトプット」

9月21日(水)、深川江戸資料館で「深川母の会」が主催する「少年の健全育成をめざす深川親と子の集い」が行われました。その第2部で、「第28回中学生の意見発表会」が行われ、本校を含む深川地区の中学校9校の代表生徒が、「ネット利用のルールについて」というテーマで自分の意見を発表しました。

本校からは2年生の生徒が1名参加しました。江東区長、深川警察署長など多くのご来賓や他校の生徒・先生方、深川母の会の皆様の前で、芯のしっかりとした声と堂々とした態度でスピーチをしました。他校の発表者の多くは生徒会の役員で、かつ3年生でしたが、臆することなく落ち着いて発表していました。

「ネットは情報収集をする際には非常に便利であり、iPadを使ったプレゼンテーションなど多くの活用法がある反面、使い方を誤ると犯罪に巻き込まれたり被害にあったりするなど、怖い面もある」というネットの長所・短所の理解や、「スマホの使用はリビングルームで午後10時までとする」という家庭内ルールについて、しっかりと伝えていました。

発表の終盤で、私はこの生徒の言葉に惹きつけられました。会場で聞いていた方々も、心をぐっと掴まれたように見えました。それは、「ネット利用は基本的に個人の自由です。危険な面もありますが、自分自身が気をつけて正しく使っていれば大丈夫だと思います。しかし、私たち中学生は、自分自身が思っている以上に『子ども』です。知らないことがたくさんあります。ですから、どのように利用していくか大人と一緒に考えることが課題だと思います。それが、これからの世の中に笑顔が満ちあふれることに繋がっていくのだと思います。」という言葉です。

ネットの長所・短所について調べて発表することは「単純アウトプット」です。つまり、インプットした情報をそのまま外に出すことです。それを家庭における親子関係と結びつけ、家庭内ルールとして具体化して発表することは「関連アウトプット」です。つまり、インプットした情報を身近な要素と関連させて外に出すことです。その後、冷静な自己評価をして、将来の社会に思いを馳せて発表することは「創造アウトプット」です。この創造アウトプットこそが、自分のオリジナルな意見です。

「自分はまだまだ子どもだ」という冷静な自己評価、「大人との協働が必要だ」という客観的な分析、「笑顔が満ちあふれる世の中」という将来展望。この「単純アウトプット、関連アウトプット、創造アウトプット」というプロセスは、大学生や社会人に求められている「思考力・判断力・表現力」の表出過程です。2年生の生徒の発表には、この過程がしっかりと含まれていました。だからこそ、聴衆の心に届いたのだと思います。これからも、勉強、部活動、委員会活動、習い事、友人や親との会話などさまざまな場面で、この「3段階のアウトプット」を実践してほしいと思っています。そのために「できること、すべきこと、したいこと」を、私たちは地道に、そして継続して、生徒に提供していきます。

「人の話を聞ける 人に話ができる」

9月7日(水)、中学3年生を対象に「中村高等学校進学説明会」を行いました。願書提出、制服採寸、学校指定用品申し込み、選択科目希望用紙提出、入学手続き等の事務的な内容も含まれていますが、主なテーマは「高校生としての心構えの構築」です。私が、キャリア・コンサルタントとしての視点も盛り込んで講師を務め、45分間15枚のパワーポイントを使って、「3年生の長所」「自分の夢、親の夢、先生の夢」「自立と自律」「親の思い」「人の話を聞く」「人に話ができる」「自分の成長」等について話をしました。次の段落は、私がお話しした一部です。

「素直、授業中の反応が良い、さっぱりしている、知的好奇心が芽生えてきた、責任感がある、計画の重要性を認識している、理解力が高まった、相手の立場を想像できる、周囲の状況を見て行動する、相手の気持ちを考える・・・。これらは、皆さんの長所です。学年の先生方から聞いてきました。皆さんは2年6ヶ月でこのような強みを身に付けたのです。自分自身の長所や強みを大切にして、大きく育てていってください。そして、新しい長所をどんどん見出していってください。お母さんやお父さんにも、『私の長所って何?』って尋ねてみてください。一緒にいる時間が一番長い大人が親です。子どもの長所・強みを一番よく知っているはずです。ですから、親から言われた長所はこれからもずっと大切にしてください。」

説明会後には「振り返り用紙」に記入をしてもらいました。その中に、「最も印象に残った言葉は、『長所と強み』です。なぜなら、今まで自分の長所などはあまり考えたことがなかったからです。高校生になったら、自律できるようになりたいと思いました。」という感想がありました。また、「もうすぐ高校生になるんだと改めて実感しました。長所を大切にして、高校生としてあるべき姿を中学生のうちに学んで、高校に入学したいです。」という感想もありました。

3年生全員の振り返り用紙を読むと、長所だけでなく、自分の夢、自律、親への感謝等についても、生徒一人ひとりが気づきを得てくれたことが分かりました。お話をしている途中で私は、「耳で聞くだけでなく、心で聴いてね。私も心の底から皆さんに話すからね。」と言いました。深く考えるきっかけや発見を得た生徒たちは、「(耳で)聞く」から「(心で)聴く」へモードを変えることができたのです。そして、「(心で)聴く」から「(頭で)理解する」という思考の整理に到達し、私の話に「関心を持つ」という気持ちの変化を実感し、振り返り用紙に自分の独創的な意見を「書く(アウトプットする)」というサイクルを達成したのだと思います。

このようなサイクルを習得した時こそが、「人の話を聞ける 人に話ができる」生徒になった時と言えます。相手の話を表層的に聞いて、思いついたことをそのまま言葉にして投げつけているうちは、コミュニケーションは成り立ちません。それは「ドッジボール」です。勝つために相手にボールを当てて痛い思いをさせるだけの行為です。コミュニケーションは「キャッチボール」です。相手が投げたボールをきちんと両手で身体の正面で受けとめる。そして、相手が取りやすいボールを身体の正面に投げる。その基盤となるのが、「聞く・聴く・理解・関心・アウトプット」というサイクルです。人の話を聞ける、人に話ができる人になってほしい。言葉のキャッチボールができる人になってほしい。相互的意思伝達ができる人になってほしい。来年の4月、そんな人が集う中村高等学校入学式を、心の底から楽しみにしています。