「学びの4段階を達成した卒業生」

11月2日(水)、5年生(高校2年生)を対象に、進路説明会「卒業生を囲んで」が行われました。大学に在籍している卒業生達が5年生全員に、自身の高校時代のキャリアデザインや学習への取り組みを話してくれたり、大学での探究活動や生活について説明してくれたりする行事です。本格的に受験勉強に取り組み始めている5年生にとっては、自分の行動(生活)を振り返る機会であると同時に、今後のキャリアを再度真剣に考えるきっかけとなる機会でもあります。

今年は10名の卒業生にお願いしました。東京農工大学(農学部地域生態システム学科)、東京藝術大学(美術学部絵画科日本画専攻)、日本大学(医学部医学科)、埼玉大学(教育学部学校教育教員養成課程小学校コース文系)、明治大学(文学部日本文学専攻)、上智大学(文学部国文学科)、明治大学(情報コミュニケーション学部情報コミュニケーション学科)、文教大学(教育学部心理教育課程幼児心理教育コース)、東邦大学(看護学部看護学科)、獨協大学(法学部国際関係法学科)。それぞれの卒業生が独自の経験知を駆使して、後輩に向けた熱いメッセージを送っていました。「6年生の体育祭と受験勉強との両立は難しいが、両立しなければ終わりだ」「絶対この大学のこの学部に行く、という意地やこだわりが大切」「中学生の時から法学部に進学したくて、その意思を貫き通した」先輩の言葉は、親や先生の言葉よりすっと心に入るようです。

進路説明会終了後に、2人の卒業生とお話しをしました。一人は農学部の4年生、もう一人は美術学部の3年生です。農学部の卒業生は、地域を限定して鹿の生態をグループで研究し続けていました。美術学部の卒業生は、1年次から積極的に展覧会に出品し続けているそうです。大学卒業後の進路について尋ねると、二人とも「大学院修士課程に進む」と、間髪入れずに答えました。私はその進路を思い切り後押ししました。「絶対に大学院に行きなさい。私は大学4年生の時教授に誘われたけど、大学院に進まず就職をしたのです。でも、ずっと後悔の念が消えず、45歳の時に受験して合格し、47歳で修了しました。2年間、本当に楽しかった」という話もしました。二人は目を輝かせて聴いてくれました。

学びには4つの段階があります。「第一段階:人から学ぶ」「第二段階:人と学ぶ」「第三段階:自分で学ぶ」「第四段階:自分を学ぶ」二人の卒業生は、中村での6ヵ年一貫教育を経て、大学4年、あるいは大学3年までの期間で、この4つの段階を着実に歩んでいったのです。「受動的学習」から始まり、先生や級友との「協働学習」を経験し、「個の学習」の重要性に気づき、「自分を学ぶ難しさ」を認識するに至ったのです。大学院修士課程を希望している今、二人の卒業生は、学ぶことの奥深さと楽しみを噛みしめ、自分を磨くことの難しさと愉しさを悟り、未来の自分を学ぶことに小躍りしているように見えました。二人の卒業論文と修士論文が楽しみです。この卒業生達の研究分野を踏まえた上で、私は別れ際に「修士課程を修了したら、博士課程に進みなさい」と伝えました。大学の教授を目指しなさいという意味で言ったのではありません。二人の探究にとって、修士課程2年間はあまりにも短いと判断したからです。二人は必ず、もっと研究したくなると予想したからです。学問の美味しさを知ってしまったら、食べずにはいられません。そして、食べ続けていいのです。頭のダイエットは必要ないのですから。

「フォロワーシップとリーダーシップを兼備した生徒」

10月29日(土)、30日(日)に本校の文化祭である「清澄祭」が行われました。今年のテーマは“one step forward”でした。一歩前へ踏み出し、中村らしいアウトプットの場にしようという願いを込めて、生徒実行委員長と副委員長が設定しました。クラス、部活動、委員会等における活動で培った力を発表する文化祭という機会に、生徒一人ひとりが自分の役割を自覚し、堅実な歩みを体現しようという意欲的な文化の祭典になりました。当日は、生徒の家族・友人をはじめ、学園関係者、地域の方々など、多くのお客様をお迎えすることができました。

クラスでは代表委員やクラスリーダーを、部活動では部長を、委員会では委員長を中心にして、それぞれの団体の目標を達成するために、全校生徒が各々の役割を責任をもってこなしていました。もちろん、校友会(生徒会)会長をはじめ、役員の生徒達や学校週番の生徒達のサポートも、盛大な清澄祭への大きな推進力になりました。また、PTA役員・委員、後援会、同窓会、おやじの会の方々の多大な協力体制も、生徒達の活動を後押ししてくださいました。

大きな行事を成功に導くには、リーダーシップが必要です。文化祭という行事は、構造が複雑なので、多数のリーダーが存在します。クラスのリーダー、部活動のリーダー、委員会のリーダー等です。一般的に、リーダーにはさまざまなタイプが存在します。「独断的専制型リーダー」「温情的専制型リーダー」「協議型リーダー」「集団参加型リーダー」「成果を重視するリーダー」「チーム維持を重視するリーダー」「教示的リーダー」「説得的リーダー」「参加型リーダー」「委任的リーダー」「ヴィジョン志向的リーダー」「変革型リーダー」などです。

もちろん、生徒はこのような「リーダーのタイプ」を意識しているわけではないので、実際には、さまざまなタイプのリーダーシップを無意識に融合してリーダーを務めていました。しかし、多くのリーダーに共通していたのは、「自分の背中を見せる」という特性でした。「自分のヴィジョンに向けて進む、そのための指示を出す、そして任せる部分は任せる、でも、自分も精一杯行動する」ということでした。この姿勢が、校内のあらゆる場面で感じられました。多分、多くのリーダーたちは「置かれた場所で咲く」ことの重要性を認識していたのでしょう。どんな小さな仕事でも大切であるという価値観を持っていたのでしょう。その上で、牽引車としての役割を果たしていたのでしょう。清澄祭初日の朝、実行委員長の生徒が全学年の実行委員の生徒達に向けて、「自覚、笑顔、5分前行動を忘れないで」と言ったことに、私は懐の深さを感じました。

リーダーは、リーダーシップだけを備えていればいいわけではありません。先頭に立ってメンバーを鼓舞するだけのリーダーでは、変化の激しいこれからの社会に対応していくのは困難です。周りを見ながら、メンバーの力を引き出しながら、時にはリーダーとして、時にはフォロワーとして、柔軟に物事に正対する姿勢を有することが、リーダーに求められる資質です。中村の生徒は、「一隅を照らすフォロワーシップを備えたリーダー」を目指します。「理想を語り現実的に行動するリーダーシップを備えたフォロワー」を目指します。