言動一致という伸長

1月9日(月)成人の日に、130名ほどの卒業生が来校しました。「成人の集い」です。地元で成人式を終えた卒業生達が華やかな装いで集まり、母校で成人を祝う会です。卒業生の運営委員8名が企画・準備・運営をし、私達教員も招かれました。中学校1年生、12歳の頃を知っている学年教員にとっては、非常に感慨深い場面でした。「あの子ども達がこんなに素敵な女性になったんだ」「話す内容も大人だ」「これからが楽しみだ」「この卒業生達がこれからの地球を担っていくんだ」等、さまざまな思いが浮かんでくる、温かく、そして頼もしさを感じる時間でした。

新成人との会話は大人同士の、心地よいキャッチボールでした。数名の卒業生から「ホームページの校長ブログを読んでいます」という、嬉しい言葉をもらいました。卒業生が母校にいつも思いを寄せてくれていることを実感し、喜びと同時に責任の重さを再確認しました。ある卒業生は、「体育祭についてのブログがよかったです。優勝を逃したチームに、顔を上げ、胸を張り、自信を持って閉会式に臨みましょうと言ってくださった所に感動しました」という感想を述べてくれました。20歳になるとこのような、物事の本質を捉えた考え方ができるのだなと、改めて着実な伸長を感じました。

中学校・高等学校の6年間は大きく、深く、太く成長する過程です。最初のうちは自分を中心として生活しています。自分の経験と自分が感じたこと、思ったことを土台にして言動がなされます。感じたことや思ったことをすぐに発言し、それに基づいて行動します。つまり、「自分に見えている世界」の中だけで言葉を発して行動していることになります。このように外に出された言葉や行動は、他人が聞く、見るという形で受けとめられます。つまり、自分に見えている世界からアウトプットしたのものが、「他人が見ている世界」の中でインプットされるということです。中学生の時はこの二つの世界に食い違いがあるかもしれません。しかし、高校生になってくると、この相違が徐々に縮小されてきます。言った人の思いと聞いた人の思い、行為を行った人の気持ちと行われた人の気持ちの重複部分が広がってきます。新成人の言動はまさに、自分に見えている世界と他人が見ている世界の一致に向かっていました。私が頼もしさを感じたのは、会話をしていた卒業生にこのような大人の思考を感じたからだと思います。

中学生・高校生には、自分の言動が他人にどのように受けとめられるか考えてほしいと思っています。もちろん、会話や行動をする際に萎縮する必要はありません。明るく、伸びやかに、飾ることなく言葉を発し、行動すればいいのです。大切なことは、他人の思いや気持ちに寄り添えるような思考をするということです。そして、その前提として、自分の言葉と行動を一致させるということです。「言っていること」と「やっていること」が一致している、つまり、自己矛盾がない状態に、6年間で達してほしいと願っています。

「未来の自分という種」

新年、明けましておめでとうございます。皆さまにとって本年が、清澄でそよ風のような心地よい年でありますよう、心よりお祈り申し上げます。また、小学校6年生の皆さんにとっては、大きな節目の年になります。「もう一つのおめでとう」を目指して大空に羽ばたいてください。最後の受験日まで気持ちを引き締めつつ心穏やかに、「今、ここで」できることに集中して毎日を過ごしてください。中学受験は受験生にとっては大きなライフイベントですが、単なるゴールではありません。ゴールであると同時に中学生活へのスタートでもあります。小さな胸に大きな夢を抱いて、笑顔で受験を経験してほしいと思います。保護者の皆さま、どうかお嬢さまを、褒めて、励まして、育んであげてください。十二支には鶏が使われていますが、鶏は朝の時間を教えてくれる時告げ鳥と言われており、太陽の神を呼ぶ神聖なものとして考えられています。また、酉には「実る」という意味があり、縁起の良い年であると言われています。中学入学という素晴らしい時が告げられる、お嬢さまに実りがもたらされる。皆さんにこんな平安が訪れることを願っています。

今年は、本校創立108年目の年です。私は、受験生と保護者の方のひたむきな努力をしっかりと受けとめ、多くの卒業生の母校への思いを真摯に受けとめつつ、在校生と保護者の方へしっかりと目を向けていきます。年末の全校集会で「12月29日は振り返りの日、12月30日は感謝の日、12月31日は決意の日」という話をしました。1年を振り返って反省をして改善策を考える、自分を支えてくれた多くの人々に感謝をする、翌年に向けての決意をする。年末をこのような意識を持って過ごして新年を迎えてほしいという思いを込めました。振り返ることは自分を見つめ直すことです。感謝することは相手を尊重し自分の心を正直に表すことです。そして、決意することは、自分で自分を高めることです。すべての人が持っている「伸びたいという気持ち」が「伸びた」という達成感に変わるための一助になればという願いを込めました。

今、ここでできることに全力投球することは、自分の過去を振り返り反省し、それを現在に生かしていくことであると同時に、未来の自分という種に水をあげていることでもあります。そのためには、足元をしっかりと見て毎日を過ごすことが必要です。虫のように目の前のことをしっかりと見つめて行動する、つまり「虫瞰図」を描けることが要求されます。さらに、物事の概要を捉えて日々の出来事を理解することが必要です。鳥のように空から自分とその周囲をしっかりと見つめて思考する、つまり「鳥瞰図」を描けることが要求されます。“Think globally, act locally” という概念にも通ずる視点です。現状に留まらず、未来の自分という種を育てる、未来の地域という種を育てる、未来の日本という種を育てる、そして、未来の地球という種を育てる。そんな自覚を持った人に伸びていってほしい、そのためにできることを精一杯したい。私の校長としての決意です。