「彩雲」

体育祭の競技を観て、走りたくなりました。演技を観て、学年で一つのものを創りあげることは素晴らしいと思いました。応援合戦を観て、高校3年生の企画力・統率力・変化対応力に頼もしさを感じました。当日は、実行委員長、副委員長に体育祭を任せました。4月28日の校長ブログの通り、二人は「二重の虹」を船橋アリーナに架けてくれました。

体育祭では、プログラムに従って入れ替わり立ち替わりさまざまな生徒が活動します。青空を白い雲が移動していくように、フロアに降りてきて自分の役割(競技、演技、応援)を終えると観客席に戻ります。役割が同じでも、役割への取り組み方が一人ひとり違うので、いくつもの白い雲がさまざまな輝きを放ちながら流れていくようでした。

私は「彩雲」を思い出しました。太陽の近くを通りかかった雲が、赤や緑などさまざまな色に彩られる現象です。昔から、良いことが起こる前触れ(瑞相)の一つと言われ、見た人には幸運が訪れるとも言われています。

でも、生徒たちは自分自身の色を持つ彩雲であると同時に、他者の雲を色づける小さな太陽でもあったのです。他者を彩る、他者から彩られる、そんな「二重の虹」も見ることができた体育祭でした。生徒たちに幸運が訪れるかもしれません。

「伝達者」

5月15日から3週間に亘る教育実習が始まりました。本校から、東京理科大学(数学科)、女子美術大学(工芸専攻)、東京藝術大学(日本画専攻)、洗足学園音楽大学(管楽器専攻)に進学した卒業生4人が、数学、美術、音楽の授業を中心に、教育活動全般の実習を行います。

4人は授業や担任業務を行いますが、実習生ですので厳密に言うと、教員のように中心になって物事を進め、生徒を導く「主導者」ではありません。しかし、生徒にとっては先輩です。自分たちが中村で学んだことを、先輩という立場から後輩に手渡すことができます。手渡すものは、専門分野の楽しさや奥深さ、学びへの真摯な姿勢、経験と努力の重要性、そして、自分の選んだ路への情熱などさまざまです。多くの場合、先輩たちの言動は後輩たちの心にダイレクトに届きます。成長の機会を与える種が、後輩の心に蒔かれるのです。

108年間受け継がれてきた伝統と、これからの時代に挑もうとする未来性が、卒業生から在校生へと伝わっていきます。この3週間という期間だけ、学校という日常に「伝達者」という風が吹き、見えないカリキュラムとしての特別な場が創造されるのです。種に水をあげるのも、水やりを毎日継続するのも、後輩たち自身です。3週間後の発芽が楽しみです。