「グルグル GIRLS」

10月21日(土)、22日(日)に清澄祭(文化祭)が開催されます。今年のテーマは、

「宝箱 ~The GIRLS are The KEYS~」です。

高校2年生の生徒実行委員長と副委員長が考えました。「宝箱の鍵は女の子である」「重要なのは女の子である」という二つの意味で “KEYS” を使ったそうです。自分たちの宝箱を自分たちの鍵で開けたり閉めたりする。そんな営みが個人の中で完結されるのではなく、クラスや部活というコミュニティーの中で、友だち、先輩、後輩、先生など多くの人と協力して行われます。それが清澄祭という一つの文化の祭典を創り出します。

しかし、豊富な知識や技能だけを基にした直線的思考では、宝物を産み出すことは困難です。寄り道をしたり、回り道をしたり、立ち止まってみたり、何か別のものとリンクさせてみたり、自分や他者の意見を考え直してみたり・・・。限られた準備期間の中でこんなプロセスを大切にしながら、生徒は思考を豊かにし、協働して、宝物を創り出していきます。このような思考を「グルグル思考」と言っている方もいます。先入観を持たず、無駄に思えることにも考えを巡らせ、柔軟に目標に向き合っていく思考です。

「グルグルGIRLS」の宝物が一杯詰まった清澄祭です。ご来場いただくすべての方々が、ご自分の宝物を見つけてくださることを願っています。

「秋桜」

現代はバーチャルリアリティの時代です。実物ではないのに、機能としての本質は同じであるような環境を理工学的に作り出してしまいます。何でも画面上で事足りる世の中かもしれません。秋桜を見たいと思ったらネットで検索すれば、各地のさまざまな品種をいくらでも見ることができます。

こんな時代に実物を見たいと思う人がどれくらいいるのでしょうか。でも、「秋桜が見たい。よし、花屋さんに買いに行こう」と思う人がきっといます。「秋桜が見たい。よし、今度の休みに武田川コスモスロードに行ってみよう」と思う人もきっといます。時間をかけて行動しようとする人たちです。

本物を見て、秋桜の可憐さの中に力強さを感じる人、その色彩に魅せられる人、群生の中の一輪一輪に自立を感じる人が必ずいます。「面倒くさい、手っ取り早く」と思わずに、リアリティを追求する心を大切にする人が必ずいます。中には、秋桜の種を手に入れて、自宅のプランターや庭に植えて、きちんと水をあげて芽が出るのを待ち、その生長を楽しみ、根気強く育てて、花が咲くのを待つ人もいます。

「これが王道だ、仮想現実はダメだ」などと言い張るつもりはありません。ただ、「種から花を咲かせよう」と考え、実際に行動できる中学生・高校生が、この先、力を合わせて創り上げる社会でどんなハーモニーを奏でるか、聴いてみたいと思っています。

「心を聴く」

先週、学校説明会を行いました。生徒が自分の進む路を考える「キャリアデザイン授業」、学力が伸びる「授業と授業外サポート」、グローバル意識を育てる「国際理解教育」、入試の「募集要項」など、小学生・保護者の皆さんの立場に立って、丁寧な説明を心がけました。

冒頭、私から小学生の皆さんにメッセージをお届けしました。「主体性は素直さに繋がり、それはスポンジのような吸収力を生み出す」「中村は108年目の女子校であり、生徒の伸びたいという気持ちを大切にして、人を育てる学校である」「人の話を聴く姿勢を身につけることが大切である」ということをお話ししました。

灰の中に入れた炭の熱で香木を温め、出た香りを楽しむ「香道」では、香りをかぐことを「香りを聞く」と言います。精神が清らかになり、心の状態が分かるからだと言われています。明治時代以降は茶道や華道とともに、女学校でも教えられていたこともあったそうです。

自然の中で偶発的にできた香木は、いったん焚いてしまうと、二度と同じ香りをかぐことはできません。ですから、「香りを聞く」必要があるのです。人の話も同じです。発せられた言葉だけを耳で聞いていたら、話し手のその時の思いを受けとめることは二度とできません。大切なのは、「言葉を聞く」ことではなく、その言葉の奥底にある「心を聴く」ことです。一人の人間として人と協働するための基本です。

「バオバブの根」

中学校3年生を対象に、「中村高等学校進学説明会」を行いました。毎年、9月、12月、3月の3回に亘り行われる説明会で、今回は、「自分を高める、他者を尊重する高校生に!」というテーマで、私がキャリアコンサルタントとしてお話ししました。

「3年生には欲張って吸収する素直さがある」「夢見る乙女は卒業して、強い気持ちと地道な行動力を備えた希望を抱こう」「感謝すると相手も自分も嬉しい気持ちになり、心が整う」「人との比較ではなく、自分の過去・現在・未来を比較して自分を高めよう」「人の話を耳で聞くのではなく心で聴こう」「今、ここでできることから始めよう」

生徒たちは真剣に話を聴いて、今の自分にとって大切なことを受けとめてくれたようです。生徒の振り返り用紙には、「夢という妄想から卒業し、希望という現実性を抱いて取り組んでいきたいです」「これからは自分の意志でやる、やらされるのではなく自らやる」など、未来志向の言葉が書いてありました。

生徒一人ひとりが、自分という樹の「根」を意識するきっかけになったようです。その根は『星の王子さま』に出てくる「バオバブの根」ではありません。星を突き通して破裂させるような根ではありません。人の心を100%理解しようとし、他者を尊重する根です。将来、地球上に、凜とした幹と多くの葉と個性的な花を生み出す根です。