「トランジション」

高等学校の卒業証書授与式が近づいてきました。あと8日で、6年間毎日のように校内で顔を合わせていた高校3年の生徒たちがいなくなってしまいます。「巣立ち」「門出」「旅立ち」。卒業は、いろいろな言葉で形容されます。私は今、一種の欠乏感に包まれ始めていますが、その感覚の深さは学年の先生方の比ではありません。「笑顔で送り出したい、でも、巣立ってほしくない」。卒業式の準備をしている時、担任の先生方の心にはこのような葛藤があります。生徒との結びつきが強い、中村ならではの心情です。

巣立っていく生徒たちは、「生徒」から「卒業生」に立場が変わります。そのトランジション(節目)に際して、寂しさを感じる人もいるでしょう。卒業したくないと思う人もいるでしょう。しかし、人生はトランジションの連続とも言えます。「何かが終わり、中立の状態を経て、何かが始まる」。終わった時の気持ちをニュートラルにする、そして、次のステップへの強い気持ちを創り上げていく。どんな節目であっても、いくつ節目があっても、それを乗り越えていく力が、6年生には身についていると私は信じています。

生徒にとって中村は「学校」です。そして、卒業生にとって中村は「母校」です。単なる出身校ではありません。109年間に亘って、女性である先輩たちが創り上げてきた母校なのです。時には、「母港」として位置づけてくれても大歓迎です。