「自発的な気づき」

生徒たちはたくさんのライフロール(人生で果たす役割)を抱えて大忙しです。小学生でも多くの役割をこなして生活しています。そんな中でも、ただ行動しているのではなく、いろいろなことを感じています。

サッカーワールドカップのポーランド戦終盤を見て複雑な思いを感じたり、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が2014年12月に打ち上げた「はやぶさ2」の、小惑星「りゅうぐう」到着の知らせを聞いてわくわくしたり、今年は太宰治生誕109年に当たると知って、夏休みに読んでみようと興味を抱いたり・・・。

生徒によってはこの感覚の段階で終わらない場合があります。ポーランド戦に関するさまざまな報道を調べて、自分の立場を明確にしようとする生徒もいます。また、「はやぶさ2」がこれから果たす役割を知って、その難しいミッションに激励の気持ちを抱く生徒もいます。また、太宰治に何となく暗いイメージを持っていたのに、調べていくうちに「太宰治は本当に素直になりたい時に何度でも立ち返ると良かった」という意見に出会い、その意味を自分でも実感してみたいと思う生徒もいます。

「なぜポーランド戦に複雑な思いを感じたのだろう」「なぜ世界がはやぶさ2に注目しているのだろう」「なぜ太宰治が『素直』に結びつくのだろう」という疑問が、生徒の感覚を思考に変えているのです。その広がりの途中で、自発的な気づきが生まれます。そして、その気づきが新しい自分を形づくることになり、周囲に目を向ける余裕を生み出し、世界への優しさを温かいものにしていくのです。生徒のこのような自己深化の過程に関わっていくことに、私たち教師は大きな喜びを感じています。