「空気」

いよいよ平成結びの日が近づいてきました。先日、ある方から、「どうしましょう?平成が終わってしまいます」という文で始まるメールをいただきました。「何かあったのかな」と思いながら読み進めていくと、「日々多忙で平成から令和への節目を、自分なりにしっかりと捉えることができない」という意味だと分かりました。

岐阜県関市に平成(へなり)という地区があります。全国唯一元号とまったく同じ漢字を使っている地区です。そこで今日から、缶詰の販売があるそうです。「平成の空気」という缶詰が記念グッズとして売り出されます。缶の中には、平成地区の空気と平成の五円玉が入っています。平成の空気を保存して、令和への良いご縁があるようにという願いが込められているそうです。

メールを送ってくれた方は、「気がついたら令和だったということがないように、平成という時代を噛みしめる時間を、一日のうちわずかでも意識したい」と締めくくっていらしゃいました。自分の生活とは直接関係のない新元号への移行を、自分の中で大切な転換点として位置づけることができる人なのだと感じました。

「人々が美しい心を寄せ合う中で、和を保っていこう」という願いが込められた新元号「令和」です。五月一日を迎えるにあたって、平成という時代に思いを馳せることは、自らの人生を振り返ることでもあります。他者と協働できる自分を創るきっかけにもなります。心の中に「平成の空気」を持っている人として、令和元年の初日を迎えたいものです。

「学びを楽しむ」

「学びたいことを学ぶことが楽しい」と、ある生徒が微笑みながら話してくれました。なぜ楽しいのか?興味を持っている科目なのかもしれません。将来の夢に関係している科目なのかもしれません。成績の良い科目なのかもしれません。いずれにしても、この生徒の心の中には「学ぶ喜び」が存在しています。

「分からないことが理解できるようになることが楽しい」と、別の生徒がはにかみながら話してくれました。興味を持っていなくても、将来の夢と無関係でも、不得意であっても、この生徒の心の中にも「学ぶ喜び」が存在しています。

勉強と楽しさを結びつけるのは、難しいことかもしれません。試験のために勉強しているという意識を強く持っている場合はなおさらです。義務的に勉強している人、強制的に勉強させられている人、嫌々勉強している人には、なかなか学ぶ喜びが生まれません。

しかし、どんな状況であろうと、どんな気持ちであろうと、勉強を続けていると必ず「力」が身についてきます。力がついてくると意欲が出てきます。この意欲は意外と長持ちします。なぜなら、人は、教えられるより自ら学ぶことを好むからです。ゲーテは「青年は教えられるより、刺激されることを欲する」と言っています。主体的な学びにはワクワク感があります。この刺激が心に芽生えた瞬間を大切にして、学ぶ喜びを大きく、大きくしていきましょう。

「学びに入る」

春の雨の恵みを受けた清澄の森の桜の花びらが、新入生の入学を待っていてくれました。中学1年生29名、高校1年生普通科58名、国際科20名の新入生が入学し、平成最後の年度が始まりました。

今年の新入生は、令和元年、そして中村学園創立110周年という特別な年に入学しました。このような大きな節目をしっかりと意識して、自分なりの意味を持たせることができる中学生・高校生になってほしいと願っています。

入学の言葉で、中学生からは、「難しいことにも諦めずに挑戦し続けようとおもいます」という頼もしい決意が表明されました。高校生からは、「社会を支える大人の一員となれるように、広い視野を持った人として成長していきます」という社会貢献への高い意識が述べられました。

人生100年時代、まずは、一人ひとりが自己ベストを目指して力を尽くすことが要求されます。そして、成長を果たした個人と個人が繋がった時、チームとしての営みに深みと幅が生まれます。協働とは、このようなプロセスを経て進められます。

「春風を以て人に接し、秋霜を以て自ら粛む」という佐藤一斎の言葉のように、他者に対しては春風のように優しく爽やかに接し、自分に対しては秋の霜のように行動をただすことができる。このような「人」に育っていくのではないかと、私たちの期待を大きく膨らませてくれる入学式でした。