「もったいない」

皆さんご存じの「土佐日記」は、紀貫之が記した1085年前の12月21日から翌年2月16日までの55日間にわたる、現在の高知県南国市から京都市への旅日記です。内容はさまざまですが、温かい心情が表され、ユーモア表現も多く使われていると言われています。

来年、日記を書き始めて28年目を迎えます。「5年日記」を使用しているので、今6冊目の2段目の欄に毎日書いています。1日たった5行だけではありますが、筆がすすむ場合もあれば滞ってしまう日もあります。最初の年は元日からではなく、7月下旬から書き始めました。中途半端な時期ですが、大先輩から「行動録でもいいから書いてみると心が豊かになるよ」というお言葉をいただいた日から記し始めたのです。もしもそのとき、「来年の1月1日から書こう」と区切りの良さを求めていたら、きっと書き始めていなかったと思います。

旅をしながら、感じたこと、考えたことを書き留めていくことは、多少のストレスはあったかもしれませんが、2ヶ月弱という期間を考えると、貫之にとっては楽しみを与えてくれる営みだったのかもしれません。もちろん、その文学的価値を考えれば、生みの苦しみがあったことは言うまでもないでしょう。

私の日記はただの行動録です。その意味では創造という意味合いはありません。それでも続けることに苦痛を感じることがありました。でも、1ヶ月も経つと「もうやめよう」とは決して思わなくなります。もったいなくてやめられないのです。継続が、この「もったいない」という感覚を育ててくれたのです。「辛い時ほど立ち止まらずに歩み続ける」こんな決意を持って心豊かに、新年を迎えたいものです。