「花吹雪」

東京の桜の開花はもうすぐです。今にもはち切れんばかりの蕾が、清澄公園を訪れる人々に期待感を届けてくれています。表題を見て、これから花が咲くのに花吹雪とはどういうことだろう。こんな疑問を抱いた方もいらっしゃると思います。

「一番綺麗な日本語は何ですか」という外国人へのアンケートで、圧巻の一位が「花吹雪」だったそうです。一年に一度のことですが、私たち日本に住んでいる者にとっては、毎年見ることができる光景です。それでも、散っていく桜の花びらにしばし足を止めてしまいます。

桜の花びらが舞う速度は毎秒5センチほどと聞いたことがあります。そう言われてもピンときませんが、「桜の花びらが舞う速度は、雪が降る速度と同じだ」と言われると、なぜか納得してしまいます。雪が降り出すと、私は無意識に空を見上げます。気がつくと、雪片を追っている自分がいます。それと同じ行為を桜の花びらに対してもしています。

咲いている時の桜の花びらには、人の心をほっとさせる調和があります。桜の花吹雪には、散っているのになぜか可憐な温かさがあります。水面に浮かぶ花筏には、生命に溢れている美しさがあります。

置かれた場所で、自分に与えられた役割や自ら取り組もうと名乗りを上げた役割を果たしていく。どんな状態であろうとも、その存在価値をしっかりと持ち続ける。そんな、桜の花びらのような生き方に、心が敏感になる季節がやってきました。